AIに仕事を頼んだのに、返ってきた結果のどこが間違っているのか分からない。研修の受講者からは、こうした声が出ることがあります。原因は、1回の依頼に作業を詰め込みすぎていることが多いです。この記事では、AIに頼む作業をどう分けるかを、研修でどう教えるかを説明します。
2026年10月時点で、弊社の研修(Qu)では、分け方の決まりを1つに絞って教えています。決まりは「1つの作業には、判断を1つだけ入れる」です。判断とは、ある物を見て「これはAだ」「これはBだ」と決めることです。
判断が2つ入ると、間違いの場所が分からない
例として、古い仕組みを呼び出している箇所を直す仕事を考えます。古い仕組みの呼び出しを見つけ、呼び出しごとに危険度を分け、失敗した場合の試験を作る、という3つを1回の依頼に詰めたとします。
結果が間違っていたとき、見つけ漏れなのか、危険度の付け方なのか、試験の作り方なのかが分かりません。やり直すときも、全部を頼み直すことになります。
3つの作業はそれぞれ、別の判断を必要とします。1つめは「ここは該当するか」、2つめは「どれくらい危ないか」、3つめは「どんな失敗を想定するか」です。判断が混ざると、人もAIも確かめにくくなります。
見つける、分ける、試すの3段で頼む
同じ仕事を、判断ごとに分けて頼みます。
| 段 | 頼む内容 | 受講者が確かめること |
|---|---|---|
| 見つける | 古い仕組みの呼び出しを、すべて一覧にする | 一覧に漏れがないか |
| 分ける | 一覧の各行に、危険度を付ける | 付け方が理由と合っているか |
| 試す | 危険度の高い行について、失敗した場合の試験を作る | 試験が失敗を再現しているか |
分けると、確かめる内容も1つずつになります。一覧に漏れがあれば、そこで止めて直せば、あとの段は直した一覧から始められます。
研修では、詰め込んだ依頼を先に見せる
分け方を言葉で説明するだけでは、受講者は自分の仕事で使えません。弊社の研修では、次の順で進めます。
- 3つを詰め込んだ依頼を、受講者に実際にAIへ出してもらう
- 返ってきた結果から、間違っている所を探してもらう
- 間違いがどの作業から生まれたかを、受講者に言ってもらう
- 同じ仕事を3段に分けて、もう一度頼んでもらう
- 1回目と2回目で、間違いの場所の分かりやすさを比べてもらう
最初に失敗を体験してもらうのが目的です。「分けたほうがいい」と聞くだけでは、手間が増えるだけに感じられます。自分で探しにくさを味わうと、分ける理由が分かります。
自分の仕事で、判断を数える練習をする
次に、受講者が普段する仕事を1つ選んでもらいます。そして、その仕事の中に判断がいくつあるかを書き出します。
数え方の目安は、動詞に注目することです。「探す」「選ぶ」「評価する」「直す」のように、結果を決める動詞が並んでいたら、判断が複数入っています。「探す」だけでなく「何を探す」まで書くと、作業の範囲がはっきりします。
書き出したら、判断ごとに1行の依頼文にします。1行に判断が2つ入っていないかを、隣の席の人に読んでもらい、確かめます。他の人が読んで迷う所は、AIも迷う所です。
作業を種類ごとに分けて教える進め方は、Excel業務をAIで減らす研修は、作業を4つに分けて教える(新しいタブで開きます)でも説明しています。こちらは表計算の仕事が題材です。
分けすぎないための線も教える
分ければ分けるほどよい、とは限りません。判断が1つしかない作業を、さらに細かく切ると、依頼の回数だけが増えます。
研修では、次の問いで線を引きます。
- この作業の途中で、人が結果を見たいか
- 見たいなら、そこで分ける
- 見なくてよいなら、続けて頼んでよい
- 次の作業は、前の作業の結果を読むか
- 読むなら、順番を守って頼む
- 読まないなら、同時に頼んでも構わない
判断を1つずつにすることと、人が途中で確かめる場所を作ることは、同じ目的です。結果を確かめたい所に、分け目を置きます。
分けた結果を確かめる力も、あわせて教える
分けて頼んでも、AIの答えが正しいとは限りません。段ごとに出た結果を、人が確かめる練習も同じ研修で行います。確かめ方の教え方は、AIの答えを確かめる力は、指示の練習とは別に研修で練習させる(新しいタブで開きます)にまとめています。
弊社のQuには、会社向けのワークショップ(社員全員、1回3時間、参考価格は税抜30万円〜)があり、この分け方の練習は、受講者が自分の仕事を持ち込む形で行えます。まずは無料の実演デモから見られます。