研修で指示の書き方を教えたのに、社員がAIの答えをそのまま資料に貼ってしまう。人事や研修の担当者には、そんな心配があると思います。この記事は、AIの答えを確かめる力を研修でどう育てるかを説明します。
指示の力と確かめる力は別に育つ
AIを使いこなす力は、2つに分けて考えられます。1つは、AIに何をしてほしいかを伝える頼み方です。もう1つは、返ってきた答えが合っているかを自分で見極める力です。
この2つは、育ち方が別です。頼み方がうまい人が、確かめるのも得意とは限りません。頼み方の練習を重ねても、確かめる力はあまり伸びないと弊社は考えています。確かめる練習は、別枠で入れる必要があります。
そこで Qu の研修では、確かめる練習を頼み方の練習とは別の時間にして入れます。2026年10月時点の弊社の考え方です。
確かめる練習で身に付けること
確かめるといっても、見る点は1つではありません。研修では、次の4つに分けて練習します。
| 確かめること | 受講者がやること |
|---|---|
| 事実 | 日付、金額、名前などを、手元の資料と突き合わせる |
| 条件 | 頼んだ条件が答えに入っているかを、1つずつ見る |
| 範囲 | 渡していない情報を、AIが付け足していないか見る |
| 読み手 | その文を受け取る人が、意味を取れる言葉かを見る |
1つの課題で4つ全部を求めると、受講者は何を見ればよいか迷います。1回の練習を1項目に絞るほうが、見る場所がはっきりします。
練習の進め方
練習は、次の順で進めます。
- 受講者が、自分の仕事に近い内容をAIに頼む
- 返ってきた答えを、印刷するか別の画面に写して手元に固定する
- 先ほどの表から項目を1つだけ選び、もとになった資料と見比べる
- 誤りや、怪しい所に印を付ける
- 印を付けた理由を、1文で書く
- 隣の人と、印の場所を見せ合う
2で写すのは、見ている最中に答えが変わってしまうのを防ぐためです。5で理由を書かせるのは、「何となく変だ」で終わらせないためです。どこが何と違うのかを、言葉にしてもらいます。
間違いのある答えを使う
確かめる練習には、誤りの入った答えが要ります。毎回AIが間違えてくれるとは限りません。そこで講師が、誤りを仕込んだ答えを前もって用意します。
例えば、資料にある日付を1か所だけ書き換えた文章を渡し、受講者に探してもらいます。見つけた数を競うのではなく、どの資料のどこと見比べたかを話してもらいます。
AIの答えが言い切りの形だと、人は正しいと受け取りやすくなります。そこで、AIに「自信のない所を教えてください」と頼む練習も入れます。挙がった点は、確かめる場所の手がかりになります。ただし、挙がらなかった所が正しいとは限りません。この点も研修で伝えます。
身に付いたかの見方
確かめる力が付いたかどうかは、研修の前後に同じ課題を出し、結果を並べて見ます。やり方は社員のAIスキルの測り方は研修の前後で同じ課題を解かせる(新しいタブで開きます)に書きました。
見るのは、見つけた間違いの数だけではありません。次の点も見ます。
- 何と見比べたかを言えるか
- 資料の名前や場所を答えられれば、見比べた証拠になる
- 見つけられなかった所を、どう扱ったか
- 確かめきれない所を「未確認」と残せれば、よい扱いです
利用回数は安全の目安にならず、数えるのは確かめた回数です。
仕事に戻ってからの決まり
研修で練習しても、職場に戻ると忘れてしまいます。そこで、確かめる手順を仕事の決まりに組み込みます。弊社では、AIのアカウントに任せる範囲を、下書きの作成と読み取りまでにしています。投稿のボタンは人が押します。外部へ出る文は、出してよいかを機械の判定で点検してから出します。
これは、AIへの頼み文ではなく、アカウントの権限の設定で決めています。お客様に出す文書や業務のアプリは、確かめる人を別の人にする決まりにすると続けやすくなります。この点はAIで作った業務アプリは、別の人が確かめる決まりから教える(新しいタブで開きます)で説明しています。
Qu で扱うこと
Qu の法人向け研修は、どのプランにもオリジナルカリキュラム「Qu-bis」が付きます。確かめる練習は、受講者の仕事の題材に合わせて組みます。最初に、無料の実演デモを見られます。
研修の種類によっては、人材開発支援助成金の対象になることがありますが、支給は保証されません。賃金助成は負担に含めないでください。対象は雇用保険の被保険者で、申請は社会保険労務士に相談します。
研修の中身は会社によって違います。確かめる練習の量も、受講者の仕事を聞いてから決めます。