会議で「結局、誰が決めるのか」が分からないまま終わることがあります。提案した人が決めると先に伝える決め方は、研修で言葉にして練習しないと、現場では使われません。この記事の問いは、その決め方を研修でどう教えるかです。
答えは、先に伝える一言を練習させること
研修では、提案する人に「この件は私が決めます。皆さんの質問と賛否と心配な点を聞かせてください」と最初に言わせます。これを会議の頭で言う練習は、研修に必ず入れる内容です。
ここで教えるのは、全員が賛成するまで待つ決め方をやめることではありません。誰が決めるのかを、話し合いの前にはっきりさせることです。決める人が分かっていれば、聞く人は何を伝えればよいかが分かります。
意見と、実現したいことを分けて教える
ある組織の例では、会議で出る言葉を2つに分けています。1つは意見で、「私はこう考える」という話です。もう1つは、自分が実現したいことで、これまで「意志」と呼ばれてきました。「私はこれを形にしたい」という気持ちのことです。
実現したいことを持つ人が提案し、関係者は質問と賛否と心配な点を伝えます。最後は、提案した人が決めます。目指すのは全員一致ではありません。誰の思いから始まり、誰が決めたかを見えるようにすることです。
研修では、この2つを書き分ける練習をします。最近の会議の発言を3つ思い出し、それぞれが意見か実現したいことかを付箋に書いて分ける流れです。分けてみると、意見ばかりで誰も実現したいことを言っていない会議だと気づくことがあります。気づいたら、その会議で誰が提案者になるべきだったかを隣の人と話します。
全員一致で決める会議と比べて見せる
違いは、表にして見せると伝わります。
| 比べる点 | 全員一致を待つ会議 | 提案者が決める会議 |
|---|---|---|
| 決める人 | 決まっていない | 提案した人 |
| 聞く人の役目 | 賛成か反対かを示す | 質問と賛否と心配な点を伝える |
| 終わり方 | 反対が消えるまで続く | 提案者が決めて閉じる |
| あとから聞かれたとき | 誰の判断か分かりにくい | 提案者の名前で答えられる |
表を配ったあとで、自分の会社の会議がどちらに近いかを受講者に話してもらうと、決め方が自分の話になります。
弊社の研修で入れている場面
弊社の法人向け研修には、週1回の全体ミーティングを2か月続ける型があります。毎週同じ時間に集まるので、会議の進め方を毎回少しずつ直せます。
この型では、初回に提案者が決める形を試し、2回目からは提案する人が毎回交代します。回数を重ねるので、最初に一言伝えることが、受講者の会議の習慣に近づきます。弊社の考えは、人を技術に合わせず、技術をその会社の感覚に合わせることです。決め方も同じで、型を押しつけず、その会社の会議に合わせて直します。
なぜ会社にこの決め方が要るのか
決める人が曖昧な会議は、決まったあとで「私は聞いていない」という話が出て、やり直しが増え、提案した人も動きにくくなる点が困りどころです。
提案者が決めると先に伝えておけば、決めた人の名前が残るので、うまくいかなかったときも、誰が何を考えて決めたかを振り返れます。責任を押しつけ合う形にならず、次の提案に生かせます。
ただし、提案者に何でも決めさせる話ではありません。お金や人に大きく関わる件は、決めてよい範囲を先に上の人と確かめます。この線引きは、部下に仕事を任せる伝え方(新しいタブで開きます)の研修と同じ順で教えます。
明日できる次の一手
明日の会議で、提案する人が最初に「この件は私が決めます。質問と賛否と心配な点を聞かせてください」と言ってみてください。会議のあとで、決めた内容を書く欄に決めた人の名前を入れます。書き方の参考は、議事録の結論に担当と期限を書く(新しいタブで開きます)研修です。
最初は小さな件で試します。たとえば、来月の備品の選び方のような件です。小さな件で一度うまくいくと、大きな件でも使いやすくなります。
2026年10月時点の弊社の考えでは、決め方の研修は、話し方の練習と会議のルールを一緒に扱います。話し方だけを練習しても、会議の場では元の進め方に戻りやすいからです。ルールは紙1枚に書き、会議室に置いておくと、次の会議でも見返せます。