部下に仕事を任せたのに、期待とは違うものが返ってくる。管理職研修では、よく話題になる場面です。任せる側は頼んだつもりでも、受ける側には「空いている人に回された」と聞こえていることがあります。この記事では、仕事を任せるときに何を伝えるかを、研修でどう教えるかを説明します。
弊社ストリックランドの生成AI研修Quでは、AIにも人にも仕事を頼むときの「伝え方」を同じ型で教えます。伝える中身は、期待している理由と、最初に任せる小さな仕事の2つです。2026年10月時点の弊社の考え方です。
最初に伝えるのは期待の理由
任せるときに最初に言葉にするのは、なぜその人に頼むのかです。「手が空いたから頼む」と伝えると、受ける側は穴埋めだと受け取ります。仕事の中身が同じでも、やる気が変わります。
理由は、相手の力に結びつけて言います。たとえば次のような言い方です。
- 穴埋めに聞こえる言い方
- 今週は空いているので、これをお願いします
- 期待として届く言い方
- あなたの資料づくりの力が伸びると思うので、この仕事を任せたいです
研修では、受講者が自分の部下を1人思い浮かべます。そして「その人のどの力に期待しているか」を1文で書いてもらいます。書けなければ、まだ任せる準備ができていません。その気づきも研修の成果です。
最初は小さな仕事を1つ決める
期待を伝えたら、次は仕事を決めます。最初から大きな仕事を渡すと、途中で止まったときに、どこで止まったかが分かりません。まず小さな仕事を1つだけ決めます。
小さな仕事とは、1人で終わらせられて、出来上がりを見て確かめられる仕事です。会議の準備資料の下書きや、週次の報告のまとめなどが当たります。
研修では、次の順で書き出します。
- 任せたい仕事を、思いつくだけ書く
- その中から、1人で終えられるものに丸をつける
- 丸のうち、出来上がりが目で見て確かめられるものを1つ選ぶ
選んだ仕事が、最初に任せる仕事です。うまく進んだら、次に少し大きい仕事を渡します。
完成の形と確かめる日を伝える
理由と仕事を決めたら、残りの伝えることを足します。これも研修では、短い項目に分けて教えます。
- 何ができたら終わりか
- 「資料をまとめて」ではなく「A4で1枚、結論を先頭に」と書く
- いつまでか
- 「なるべく早く」ではなく日付で書く
- 途中でいつ見せてもらうか
- 最初の確認の日を、渡すときに決めておく
- 自分で決めてよいこと
- 迷ったときに相談するか、決めて進めてよいかを先に言う
「なるべく早く」を日付に直すだけでも、受ける側の迷いは減ります。
AIに頼むときも同じ型を使う
AI研修の中で、この伝え方を教える理由があります。AIへの指示(プロンプト)が弱いときの原因は、人に頼むときに足りないものと同じことが多いからです。
| 伝える項目 | 部下に頼むとき | AIに頼むとき |
|---|---|---|
| 理由と目的 | あなたの力が伸びると思うので任せる | 何のために使う文章かを書く |
| 仕事の大きさ | 小さな仕事を1つ | 1回の依頼で頼むことを1つに絞る |
| 完成の形 | A4で1枚、結論を先頭に | 形式と長さを指定する |
| 確かめる時点 | 途中で見せる日を決める | 返ってきた下書きを人が読んで直す |
AIには期待の理由は要らないのでは、と思うかもしれません。ただし、目的を書かないと、AIは一般的な答えを返します。人もAIも、何のための仕事かが分かると、出来上がりが近づきます。
AIと人で型を共通にすると、受講者は1つの型を覚えれば済みます。研修では、同じ仕事の依頼文を、部下向けとAI向けに続けて書いてもらい、書き比べると足りない項目が見えます。
研修の進め方
研修の流れは、次のようにします。
- 自分が最近出した依頼を、1つ思い出して書く
- 上の4つの項目で、足りなかったものに印をつける
- 部下向けの依頼文を書き直す
- 同じ依頼をAIに出し、返ってきたものを読んで直す
- 隣の人に読んでもらい、分かりにくい箇所を聞く
書き直した依頼文は、その場で終わらせません。研修のあとに実際に1人へ渡し、結果を次の回で持ち寄ります。渡した結果を見て、期待の理由が届いたか、完成の形が足りたかを話し合います。
弊社の法人向け研修には、社員全員が受けられるワークショップがあり、参考価格は税抜30万円からです。まずは無料の実演デモから見ていただけます。管理職向けの回を組み込みたい場合も、まず依頼文の書き直しから始めるのが進めやすいと考えています。
研修を開く前に決めておくこと
人事や経営者が、研修を開く前に決めておくとよいことは2つです。
- 受講者が任せたい相手を、あらかじめ1人決めておく
- 研修の中で書いた依頼文を、そのまま渡せるようにするため
- 最初に任せる仕事を、研修の日から1か月以内に渡すと決める
- 渡すのが遅れるほど、研修で書いた内容が薄れるため
任せ方は、話を聞くだけでは身につきません。自分の部下とAIに向けて実際に書き、渡し、結果を見る流れを研修の中に入れることが大切です。