会議のメモを読み返すと、「佐藤さんが賛成」とだけ書いてあり、何に賛成したのか分からない。そんな経験は、議事録を書く人なら一度はあるはずです。この記事は、議事録で主張と意見を分けて残す理由を、研修でどう教えるかに答えます。
答えは、理由を先に伝えてから、同じ発言を2つに仕分ける練習を1回させることです。主張は、誰かが言った提案です。意見は、その提案への反応や補足です。この2つをセットで残すと、誰の提案に誰がどう反応したかが後から追えます。弊社の Qu で研修を組むときも、この順に並べるのがよいと考えています。2026年10月時点の考え方です。
主張と意見の違い
主張は「こうすべきだと思う」という提案です。意見は、それを聞いた人の反応です。「賛成だが、こういう心配もある」は意見にあたります。
ここで大事なのは、意見が必ず特定の主張に結びつくことです。結びつきが消えると、メモは単なる発言の並びになります。
分けずに残すと起きること
分けずに書くと、読み手が困る場面が2つあります。
- 提案が何だったのかが分からなくなる。「心配の声があった」だけでは、何への心配か読み取れない
- 決まった理由が説明できなくなる。担当が替わった後で「なぜこの案になったのか」と聞かれても答えられない
会社にとって、これは大きな問題です。議事録は、決定の経緯を後から説明するための記録だからです。結論だけが残ると、同じ議論を何度もやり直すことになります。研修では、この困りごとを最初に見せると、分ける意味が伝わります。
研修での教え方
次の順で進めると、短い時間でも身につきます。
- 読み返して困ったメモを1つ見せる。「賛成が多数」だけで経緯が分からない例を使う
- 主張と意見の言葉の意味を、1文ずつ説明する
- 短い会話を読ませ、主張に線を引かせる
- 意見を、結びつく主張の下に書かせる
- 隣の人と見比べさせ、仕分けが違った箇所を話し合わせる
3の会話は、研修の担当者が作ります。実際の社内の会議を使うと、人の発言が含まれます。作り話にしておくのが安全です。
弊社は文章を公開する前に、人間が読んで分かる言葉かを確かめています。比喩を使わないこと、専門語は初出で説明することを見ます。議事録も同じで、書いた本人ではなく、読む人が分かるかで確かめます。研修の最後に、隣の人へメモを渡して読ませると、この確認を体験できます。
この順にする理由は、仕分けの方法だけを先に教えると、形をなぞるだけになりやすいからです。困った経験から入れば、受講者は自分の仕事に引きつけて考えられます。
仕分けの練習に使う例文
次の表は、研修で使う作り話の例です。会議の議題は、たとえば「社内の連絡手段を1つにするか」です。
| 発言 | 分類 | メモの書き方 |
|---|---|---|
| 連絡は1つの道具にまとめたい | 主張 | 提案: 連絡手段を1つにまとめる |
| まとめるのは賛成だが、外部の人とは使えない | 意見 | 賛成。ただし外部の人とは使えない点が課題 |
| 外部とのやり取りは今のままでよいのでは | 意見 | 外部とのやり取りは現状維持を提案 |
3行目は迷いやすい発言です。現状維持を勧める点では、新しい提案にもなります。迷ったときは「この発言に、別の人が賛成や反対をしそうか」と考えさせます。しそうなら主張として扱ってよい、と教えます。
関連して、決まったあとの行動の書き方は議事録の研修では、誰が何をいつまでにやるかの書き方を教える(新しいタブで開きます)で扱っています。議事録を3回に分けて書かせる方法は議事録は要約、抽出、具体の順に3回に分けて書かせると研修で教える(新しいタブで開きます)にあります。
明日できる次の一手
次の会議で、主張と意見を分けてメモしてください。メモ帳の左側に主張、右側にその意見を書くだけで構いません。
会議のあとで読み返し、意見が結びつく主張を見つけられるか確かめます。見つけられなければ、その会議の記録は経緯を追えません。分けて書く練習は、一度やると次から速くなります。最初は時間がかかっても、気にしなくて構いません。まず自分のメモで試し、その結果を持って研修の場に出すと、受講者に具体的に話せます。
Qu の法人向けワークショップは1回3時間で、社員全員で受けられます。社内で試してから研修を考えたい場合は、まず無料の実演デモから見られます。