研修でAIの使い方を教えると、受講者に「やってはいけないことは何ですか」と聞かれます。できることの説明は進みますが、やらないことは後回しになりがちです。この記事では、会社のAIでやらないことを、研修でどう教えるかに答えます。
Qu の研修では、やらないことを4つに絞り、使い方の説明より先に教えることを勧めます。4つとは、次のことです。個人のアカウントに会社の資料を入れないこと。数字や日付や名前を確かめずに送らないこと。相手に断らずに録音しないこと。従業員の評価や態度の判定に使わないこと。最後に、この4つを社内の決まりに書き込みます。2026年10月時点の、弊社の考え方です。
先に決める4つ
やらないことを多く並べても、受講者は覚えられません。そこで4つに絞り、理由と練習を組にして教えます。理由が分からないと、場面が変わったときに守れないからです。
| やらないこと | 研修で教える理由 | 受講者にやってもらう練習 |
|---|---|---|
| 個人のアカウントに会社の資料を入れない | 会社の資料が、会社の管理の外に出てしまうため | 今開いているAIが、会社のアカウントか個人のアカウントかを画面で確かめる |
| 数字、日付、名前を確かめずに送らない | AIは、もっともらしい数字や名前を間違えて書くことがあるため | 送る前に、元の資料と1つずつ突き合わせる |
| 相手に断らずに録音しない | 相手が知らないまま、声が記録されてAIに渡るため | 録音の前に伝える一言を、声に出して言う |
| 従業員の評価や態度の判定に使わない | AIの判定は、本人に理由を説明できないため | 評価に関わる頼まれごとを、断る言い方を決める |
個人のアカウントには入れない
個人のアカウントは、会社が中身を見ることも、止めることもできません。会社の資料を入れると、その後の行き先を会社が追えなくなります。研修の最初に、いまどのアカウントでAIを開いているかを、全員に画面で確かめてもらいます。
会社のアカウントがまだ用意できていないときは、資料を入れずに使える範囲を先に示します。入れてよい情報の分け方は、AIに入れてよい情報は、守るものを決めてから研修で教える(新しいタブで開きます)にまとめました。
数字と日付と名前は確かめる
AIは文章を整えるのが得意です。ところが、数字や日付や人の名前は、間違えて書くことがあります。文章が自然なので、間違いに気づきにくいのが困る点です。
研修では、AIが書いた文書を配り、元の資料と1つずつ突き合わせる練習をします。見つけた間違いは、受講者に声に出して言ってもらいます。手順は次のとおりです。
- AIが書いた文書から、数字と日付と名前に印をつける
- 印をつけた所を、元の資料で探す
- 合っていれば印を消し、違っていれば直す
- 印がすべて消えてから送る
確かめる力そのものの教え方は、AIの答えを確かめる力は、指示の練習とは別に研修で練習させる(新しいタブで開きます)に書いています。
録音は相手に断ってから
会議や商談を録音して、AIに文字起こしや要約をさせる場面があります。相手が知らないまま録音すると、あとで信頼を損ないます。
研修では、録音の前に伝える一言を決めて、2人1組で言う練習をします。たとえば「内容を正確に残すため、録音してもよろしいでしょうか」です。相手が断ったら、録音はしません。その場合は、手書きのメモで残します。断られたときの動きまで練習しておくと、実際の場面で迷いません。
評価や態度の判定には使わない
従業員の評価や態度の判定は、AIにさせません。AIの出す判定は、なぜそうなったのかを本人に説明できないからです。評価は、人が見た事実をもとに、人が決めて、人が説明するものです。
研修では、評価に関わる頼まれごとを受けたときの断り方を決めます。「評価は人が決める決まりなので、AIにはかけられません」のように、短い一言で足ります。上司から頼まれた場合も、伝える一言は同じです。
社内の決まりに書き込む
教えただけでは、人が入れ替わると薄れます。そこで4つを、社内のAIの決まりに書き込みます。決まりに書いてあれば、新しく入った人にも同じ内容を渡せるからです。
弊社では、やらないことを指示ではなく設定で守らせています。AIのアカウントにできるのは、下書きを作ることと読むことだけです。投稿のボタンは人が押し、外へ出す文は会社として出してよいかを機械で点検してから出します。守れるかどうかを、本人の注意だけに頼らない考え方です。
社内で教える時間を取りにくいときは、Qu の法人向けワークショップで相談できます。社員全員が対象で、1回3時間、参考価格は30万円〜(税抜)です。まずは社内のAIの使い方を見て、守られていない項目を1つ選んでみてください。