仕事を人に渡すときも、AIに渡すときも、つい自由な文章で「ここまでやりました。あとはお願いします」と書いてしまいます。受け取る側は、その文章から前の人の意図を読み取り直すことになります。この記事は、仕事を渡すときの書式を研修でどう教えるかに答えます。
答えは、引き継ぎの報告に使う書式を1つ作り、研修の中で実際に埋めさせることです。Qu の研修では、欄が決まった紙を渡します。受講者が自分の仕事で1枚書くところまでを、1回の練習にします。説明を聞くだけでは、自由な文章で渡す癖は変わりません。
自由な文章で渡すと何が起きるか
自由な文章には、書く人の頭の中にあるだけの前提が残ります。受け取る人は、そこを想像で補います。補った部分が合っているかどうかは、誰にも分かりません。
渡す回数が増えるほど、問題は大きくなります。人から人、人からAI、AIから人と段階を重ねるたびに、小さな曖昧さが積み重なります。最後に出る結論は、最初の意図から少しずつずれていきます。
決まった書式で渡すと、受け取る側に選べることが増えます。欄が空のまま届いた報告は、受け取らずに戻せます。自信がないと書かれた結果は、別の人の確認に回せます。この2つが、書式を作る一番の理由です。
研修で最初に作る書式
書式は、欄を少なくするほど守られます。研修では、次の4つの欄から始めます。
| 欄 | 書くこと | 空だったとき |
|---|---|---|
| 頼まれたこと | 元の依頼を1文で | 戻して書き直してもらう |
| 分かったこと | 確かめられた事実だけ | 完了とは扱わない |
| 自信のない点 | 推測した部分と、その理由 | 「なし」と書く欄なので、空は戻す |
| 次に確かめる人 | 名前と、確かめてほしいこと | 決まるまで次へ進めない |
「自信のない点」の欄を必ず置くのが、この書式の中心です。自信のない点が無い仕事は、まずありません。「なし」と書くときも、本当に無いかを一度考えることになります。
弊社は、記事を公開する前に、人間が読んで分かる言葉かを確かめています。比喩を使っていないか、専門語は初出で説明してあるかを見ます。確かめる項目が決まっているので、誰が見ても同じ基準で止められます。引き継ぎの書式も、同じ考え方で作ります。
研修の進め方
研修の1回は、次の順で進めます。
- 受講者に、最近自分が人かAIに渡した仕事を1つ思い出してもらう
- そのとき実際に書いた、自由な文章の依頼を見せてもらう
- 隣の人が、その文章だけを読んで「何をすればよいか」を言葉にする
- 前の人の意図とずれた所に印を付ける
- 4つの欄の書式で、同じ仕事を書き直す
3番を入れる理由があります。自分の文章が伝わらなかった経験は、書式の必要を一番はっきり教えてくれるからです。ずれた所を見た人は、欄を埋める作業を面倒とは思わなくなります。
5番で書き直した報告は、そのままAIにも渡せます。AIは人のように「たぶんこういう意味だろう」と空気を読んで補うことがあります。補った結果は、見た目は自然でも中身が違うことがあるので、欄で縛っておく意味があります。
書式を決めておく理由
会社にとって、書式は個人の工夫に任せないほうがよいものです。理由は、渡す人ごとに書き方が違うと、受け取る側は毎回読み方を変えなければならないからです。
決まった書式があれば、確認する人は見る場所が分かります。空の欄があるかどうかを見るだけで、止めるべき報告かどうかが分かります。確認の負担が下がり、確認が形だけになることも減ります。
書式が守られているかを確かめる人も、先に決めておきます。部署ごとに1人でかまいません。決めないと、書式だけが残って誰も見ない状態になります。確かめる人と場所の決め方は、任せる範囲を広げる前に確かめる人と場所を決める(新しいタブで開きます)で扱っています。
明日できる次の一手
明日の仕事で、人かAIに渡す予定の仕事を1つ選んでください。渡す前に、上の4つの欄を紙かメモに書き出し、1つずつ埋めます。「自信のない点」が書けない場合は、その仕事を渡すのが早すぎるかもしれません。
渡したあとで、受け取った人に「欄のうち、読みにくかったものはどれか」と聞いてください。返ってきた答えで、欄の言い方を直します。これを数回くり返すと、自分の部署に合った書式になります。
担当が替わっても同じ結果になる手順書については、担当が替わっても同じ結果になる手順書(新しいタブで開きます)にまとめています。書式と手順書を組み合わせると、引き継ぎがさらに安定します。
弊社の研修での扱い
Qu の法人向け研修では、書式づくりを演習の1つとして扱えます。受講者の実際の仕事を題材にするので、研修の場で作った書式がそのまま翌週から使えます。研修の内容や価格は、無料の実演デモで確かめられます。内容は2026年10月時点のものです。