AIに同じ頼みごとをしても、前に直したはずの失敗がまた出てくることがあります。そのたびに口で注意するだけでは、次の人も同じ失敗をくり返します。この記事は、AIが失敗したことを手順書に足していくやり方を、研修でどう教えるかへの答えです。
AIの手順書を使い続けるやり方は、失敗を1行ずつ手順書に足すことを研修で教える方法です。弊社では、AIが過去に失敗したことを1行ずつ手順書に足しています。足した行は、次の作業から同じ失敗を防ぎます。これは2026年10月時点の弊社の運用に基づく考え方です。研修では、手を動かす練習として教えるのが向いています。
ここでの手順書は、AIに毎回読ませる決まりを書いた文書のことです。「文章は800字以内にする」「宛名は必ず確かめる」のような短い決まりを並べます。
最初に見せるもの
研修の最初に、手順書が空の状態でAIに作業を頼む場面を見せます。たとえばお客様へのお礼メールの下書きです。
AIは、宛名の敬称や言い回しを間違えることがあります。ここで受講者に「何が困るか」を口で言ってもらってから、間違いを1行の決まりにして手順書へ足し、同じ作業をもう一度頼みます。
直った結果を見ると、受講者は手順書の役目をつかみます。説明を先に長くするより、足す前と足したあとを並べて見せるほうが伝わります。
手順書がないと起きること
手順書がないと、AIの失敗は頼んだ人の頭の中にしか残りません。その人が休めば、同じ頼みごとをした別の人が、同じ失敗に出会います。
失敗を文書に残すと、頼む人が替わっても、AIは同じ決まりを読んで作業します。研修で教えたいのは、この「人ではなく文書に覚えさせる」という考え方です。受講者には、自分が直した回数ではなく、文書に足した行の数が、次の人の役に立つと伝えます。
1行の書き方
足す行は、1行に1つのことだけを書きます。長くなると、AIも人も、どこが決まりか分からなくなるからです。
- 悪い例
- 気をつけて丁寧に書くこと
- 良い例
- お客様の名前には必ず「様」を付ける
悪い例は、何をすれば守れたのかが分かりません。良い例は、守れたかどうかを人が見て判断できます。研修では、受講者に自分の失敗を1行に直させて、隣の人に「これで守れたか分かるか」と聞いてもらいます。
練習の手順
研修で受講者が手を動かす順番は、次のとおりです。
- 自分の仕事で、AIが間違えた例を1つ思い出す
- 何が間違いだったかを、1文で書く
- その間違いを防ぐ決まりを、1行に直す
- 手順書に足して、同じ作業をAIにもう一度頼む
- 間違いが消えたかを、人が読んで確かめる
5番を省くと、足した行が効いているか分かりません。ここは必ず人が読みます。確かめる練習は、AIで作った業務アプリは、別の人が確かめる決まりから教える(新しいタブで開きます)でも書いたように、別に時間を取って教えます。
足すかどうかの判断
失敗のたびに何でも足すと、手順書が長くなります。足す前に、次の表で判断してもらいます。
| 場面 | 足すか | 理由 |
|---|---|---|
| 同じ間違いが2回目に出た | 足す | くり返す間違いは、決まりにすると防げる |
| 1回きりの特別な事情だった | 足さない | 次の作業には関係しない |
| すでに似た行がある | 既存の行を直す | 同じ内容の行が2つあると、食い違う |
| 書き方が曖昧で守れたか分からない | 書き直してから足す | 確かめられない行は、効いたか分からない |
「2回目に出たら足す」と決めておくと、受講者は迷いません。ただし、お客様に影響が出る失敗は、1回目でも足します。
行が増えたあとの見直し
足し続けると、古い決まりが今の仕事に合わなくなることがあります。研修の終わりに、見直しの習慣も1つ伝えます。
月に1回、手順書を最初から読み、今も必要な行かを確かめます。使わなくなった行は消し、食い違う2つの行はどちらかに直します。見直しの担当は、手順書を使う人の中から1人決めておくことです。
足してはいけない行
練習では、足してはいけない行の例も3つ見せます。1つ目は、お客様の名前や会社名を手順書の中に直接書く行です。手順書は複数の人が読むので、個人情報や取引先の情報は入れません。2つ目は、理由の分からない禁止だけを書く行で、後で見直すときに消してよいか判断できません。3つ目は「できるだけ」「なるべく」で終わる行です。守れたかを確かめられないので、数や言葉で言い直します。
受講者には、自分の手順書にこうした行が混ざっていないかを見てもらい、見つけたらその場で直してもらいます。
弊社の研修での扱い
弊社の研修サービス Qu の法人向けワークショップは、社員全員が対象で、1回3時間、税抜30万円からの参考価格です。手順書に失敗を足す練習は、受講者それぞれの仕事の題材で行うのが合います。内容は、会社の仕事に合わせて相談できます。
まずは無料の実演デモで、足す前と足したあとの違いを見ていただけます。自社の仕事でどこまで当てはまるかは、そこで確かめてください。