職場の連絡には、仕事の話だけでなく、集合時間の確認や短い返事も混ざります。その全部をAIに渡すと、AIを使う回数が増え、利用料も増えます。この記事では、渡さなくてよい連絡を外して利用料を下げる方法を、研修でどう教えるかの説明です。
研修では、AIに渡す前に「渡さなくてよい連絡の例を、自分の職場から3つ書き出す」練習をさせて教えます。弊社の生成AI研修 Qu では、この練習を受講者自身の職場の連絡で行う形にできます。例を自分で書くと、外す基準を自分で説明できるようになるからです。
利用料が下がる理由
多くのAIサービスは、AIに文を送って答えを返してもらうたびに、使った量に応じた利用料がかかります。料金の決め方はサービスごとに違うので、自社の契約を先に確かめてください。AIに送る連絡が減れば、AIを呼び出す回数が減ります。回数が減れば、利用料も下がります。
ある会社の事例では、「明日の集合は9時で」のような雑談を、AIに渡す前に外しました。その結果、AIを呼び出す回数が減り、費用も下がりました。この連絡は、AIにしてほしい仕事に関わらないからです。
会社として教える理由
利用料は、使うほど毎月かかり続けるものです。外すかどうかを社員が各自の感覚で決めると、人によって外す量が変わります。会社で基準をそろえておけば、費用の見通しが立てやすくなります。
もう一つ理由があります。外した連絡は、社外のAIサービスに送られません。送る情報が減れば、見せるつもりのない話が混ざる機会も減ります。費用の話に見えて、情報の扱いの話でもあるのです。
渡す連絡と外す連絡
研修では、次のような表を見せて、一通ずつ「渡すか、外すか」を聞くと分かりやすくなります。例はたとえばの作り話です。1行目だけは、先ほどの事例の連絡と同じです。
| 連絡の例 | 判断 | 理由 |
|---|---|---|
| 「明日の集合は9時で」 | 外す | AIにしてほしい仕事に関わらない |
| 「了解です」 | 外す | 返事だけで、記録に残す内容がない |
| 「A社の見積は明日出します」 | 渡す | 仕事の記録に残す内容がある |
| 「9時集合です。あとB社は失注でした」 | 渡す | 雑談の中に仕事の内容が混ざっている |
4行目のように、雑談と仕事が1通に混ざる連絡は、外さずに渡します。表を見せるときは、この行で受講者の手が止まるかを見てください。止まったなら、基準がまだ言葉になっていません。
研修の進め方
次の順で進めると、1回の研修の中で基準まで作れます。
- AIにしてほしい仕事を、1文で書かせる。たとえば「連絡の内容を表に写す」のような文である
- その仕事に関わらない連絡を、自分の職場から3つ書き出させる
- 隣の人と見せ合い、「この連絡をAIが読まないと困るか」を聞き合う
- 困る連絡が混ざっていたら、外す例から戻す
- 残った例から、外す基準を1文にまとめる
最初に仕事を1文で書かせるのは、仕事が決まらないと、関わるかどうかの判断ができないからです。この考え方は、AIに頼む作業は、1つの作業に判断を1つだけ入れると研修で教える(新しいタブで開きます)とも重なります。
2026年10月時点で、弊社の1on1型短期集中研修は、5名まで、専属講師が1対1で進める2か月の研修です。参考価格は税抜120万円からです。1対1の場なので、受講者が書いた3つの連絡を、その場で一緒に読んで直せます。
外しすぎを防ぐ
外す基準が強すぎると、必要な連絡までAIに渡らなくなります。たとえば、あいさつの文に「A社は失注でした」と一言添えてあるとします。雑談として外すと、その記録は残りません。
そこで、迷ったときは外さずに渡す、という決め方があります。利用料が少し増えても、必要な連絡が落ちる失敗のほうが、気づいたあとの手間が大きいからです。研修では、この決め方にする理由まで受講者に話させます。
決める前に話し合う点
この方法で、費用の上限をいくらにするかは、ここでは決められません。外す基準を変えるとき、公開や運用の前に誰が承認するかも同じです。どちらも、会社の状況で答えが変わります。
導入を決める前に、費用の上限と、基準を変える人と承認する人を、会社で話し合ってください。話し合った内容は、研修の資料にも載せておくと、受講者が迷いません。
明日の一歩
紙を1枚用意して、直近の職場の連絡を見返します。そのなかから、AIに渡さなくてよい連絡を3つ書き出してください。そのあと、AIにしてほしい仕事を1文で書き、3つの連絡がその仕事に関わらないかを確かめます。これが、研修で最初にやらせる練習そのものです。