AIの道具や業務の進め方を比べるとき、点数に重みをつけて決める会社があります。重みを決めたあと、その数字で本当によいのかと不安になる人も多いはずです。この記事は、決めた重みで結論が変わるかを確かめる方法を、研修でどう教えるかを説明します。
答えは、重みを少しずつ動かして、結論が入れ替わる所を見つける練習をさせることです。弊社の生成AI研修 Qu では、受講者に重みを1回だけ決めさせて終わりにしません。同じ表の重みを動かし、順位が変わるか、変わらないかを自分の手で見てもらいます。2026年10月時点の考え方です。
重みの数字は仮の置き場
研修の最初に、重みは正解ではなく仮の置き場だと伝えます。費用を4割、使いやすさを3割と決めても、それは決めた時点の見立てです。見立てが少しずれていたとき、結論まで変わるのかを知らないと、会議で不安が残ります。
そこで、研修では次の順に進めます。
- 比べる案を2つか3つ決める
- 見る項目を3つまでに絞り、重みを書く
- 各案を5点満点で採点し、重みをかけて合計する
- 1つの項目の重みを0.1ずつ動かし、合計を出し直す
- 順位が変わった所に印をつける
表で見ると分かりやすい
例として、案Aと案Bを比べます。見る項目は費用、使いやすさ、安全の3つです。案Aは費用が5点、使いやすさと安全が3点です。案Bは3項目とも4点とします。
費用の重みを動かし、残りを同じ割合で分けると、合計は次のようになります。
| 費用の重み | 案Aの合計 | 案Bの合計 |
|---|---|---|
| 0.4 | 3.8 | 4.0 |
| 0.5 | 4.0 | 4.0 |
| 0.6 | 4.2 | 4.0 |
費用の重みが0.4のときは案Bが上です。0.5で並び、0.6で案Aが上になります。わずか0.1ずつの動きで、結論が入れ替わりました。これは例のための数字で、実際の調査の結果ではありません。
動かない項目は議論を短くする
次に、受講者に別の項目も動かしてもらいます。たとえば、使いやすさと安全の間で重みを0.1動かします。案Aはどちらも3点、案Bはどちらも4点なので、合計は変わらず、順位も動きません。この動かし方は、どの数字でも結論が同じです。長く議論しても、決めることは変わりません。
研修では、ここで一言添えます。結論が動かない項目に会議の時間を使わず、動く項目に時間を回してください、と。この一言で、受講者は議論の順番を自分で決められるようになります。重みの議論が長引く会社ほど、この区別が役に立ちます。
動く項目は前提までさかのぼる
結論が入れ替わる項目は、重みの数字そのものを疑うより、その重みの前提を調べます。上の例なら、費用の重みが0.5より大きいかが分かれ目です。そこで、今期、費用を抑える必要は本当にあるか、案Aの使いやすさと安全の3点は誰がどう確かめた点数か、という2つを問います。
前提が調べ終わるまで、結論を決めない。これが研修で教える大事な点です。調べた結果、重みが0.5をはっきり超えるか下回るなら、案はそのまま決まります。追加の確認が要るのは、分かれ目の近くにあると分かったときだけです。同じ答えを2回確かめる考え方は、大事な判断は同じ質問を2回して、答えがそろうか確かめると研修で教える(新しいタブで開きます)でも説明しています。
弊社の研修での時間の配り方
弊社のワークショップは、1回3時間です。この中で重みの確かめを扱うなら、表を作る時間よりも、重みを動かして見比べる時間を長く取ります。受講者が自分の仕事の題材で表を作り、隣の人の表と動かし方を見比べると、気づきが増えます。
なぜこれが会社に要るのかというと、重みを決めた本人以外は、その数字の根拠を知らないからです。結論が動くかどうかを見せれば、決めた本人でなくても、どこを詰めれば納得できるかを説明できます。
明日できる最初の一手
明日できることは1つです。いま社内で使っている比較の表を1枚選び、一番重い項目の重みを0.1だけ上げて、合計を出し直してください。順位が変わらなければ、その表は安心して使えます。順位が変わったなら、その項目の前提を調べる会議を1回入れます。
数字を2つ書き換えるだけなので、10分ほどでできます。AIに合計の計算を頼むなら、計算が合っているかを電卓で1回確かめてから使ってください。AIに目標を渡す場合の考え方は、AIに渡す目標は数字を1つにせず組にする。研修での教え方と手順(新しいタブで開きます)も参考になります。