「AIに会社の情報を入れると、AIが覚えて他の人に見せてしまうのでは」。研修の場で、こう心配する人は少なくありません。この心配が強いと、社員はAIを使わなくなります。この記事は、入力した内容が学習に使われるかを、研修でどう教えるかに答えます。
法人向けの生成AIサービスでは、基本的に入力した内容はAIの学習に使われません。Qu(株式会社ストリックランドの生成AI研修)では、この点を「思い込み」と「確かめた事実」に分けて教えます。「入れたら学習される」と決めつけて使わないのは、もったいないからです。
学習と保存は別のこと
最初に、2つの言葉の違いを教えます。学習とは、入力された文章を使ってAIを学び直させることです。保存とは、サービスが入力や会話の記録を手元に残すことです。
会話の流れを保つために、入力が一時的に保存されることはあります。ただし、これはAIを学び直させるためではありません。この2つを混ぜると、「保存されるなら学習もされる」と誤解します。
研修では、受講者に次の文を自分の言葉で言い直してもらいます。
- 学習
- 入力を使って、AIが学び直すこと
- 保存
- 会話を続けるために、記録を残すこと
思い込みを先に聞く
次に、受講者が何を心配しているかを聞きます。「入れたら学習される」と思っている人は、そもそもAIに会社の文章を入れません。教える側が先に答えを言うより、本人の考えを出してもらうほうが、あとの説明が入ります。
質問は短くします。「何を入れたら困りますか」「それはなぜですか」の2つです。答えを黒板や共有画面に書き出すと、心配が事実の心配なのか、なんとなくの不安なのかが見えてきます。
確かめる場所を見せる
学習に使われるかどうかは、感覚ではなく書面で確かめます。研修では、実際の契約書や説明書を画面に出して、探し方を見せます。
- 契約書や利用規約を開く
- 「入力」「学習」「データの利用」といった言葉で探す
- 入力内容を学習に使わないと書いてあるかを読む
- 保存される期間や、消し方が書いてあるかを読む
- 分からない文は、メモして社内の担当に聞く
書いていなければ、使ってよいと決めません。サービスの窓口に質問し、返事をもらってから決めます。ここまでを受講者自身にやらせると、次から自分で確かめられます。
契約によって扱いが違う
同じ会社のAIでも、法人向けと個人向けでは、データの扱いが違うことがあります。無料の個人向けは、設定を変えないと学習に使われる場合もあるので、使う前に自分の契約で確かめる必要があります。
そこで、研修では次の表を使います。自社が使うサービスの欄を、受講者が自分で埋めます。
| 確かめる項目 | どこで見るか | 分からないとき |
|---|---|---|
| 入力が学習に使われるか | 契約書、利用規約 | 窓口に質問する |
| 保存される期間 | 説明書、管理画面 | 窓口に質問する |
| 学習の設定を変えられるか | 設定画面 | 社内の担当に聞く |
| 使うアカウントの種類 | 契約の名義 | 社内の担当に聞く |
この表は、研修のあとも社内に置いて使えます。サービスを入れ替えるときに、同じ項目で見比べられます。
学習されなくても入れないもの
学習に使われないと確かめられても、何でも入れてよいわけではありません。社内の決まりで入れないと決めた情報は、入れません。何を入れてよいかの決め方は、AIに入れてよい情報は、守るものを決めてから研修で教える(新しいタブで開きます)で詳しく書いています。
情報漏えいを防ぐ研修の全体像は、情報漏えいを防ぐ生成AI研修は、区分と設定と連絡先を教える(新しいタブで開きます)にまとめました。学習の話は、その一部として位置づけます。
研修の終わりに確かめること
最後に、受講者が自分の言葉で2点を言えるかを見ます。学習と保存の違いを1文で説明できること、そして自分の使うサービスで学習に使われるかを探す場所を言えることです。
言えない人がいれば、その場でもう一度、契約書を一緒に開きます。時間はかかりますが、「学習されるから使わない」という思い込みを外すには、自分で書面を読んでもらうのが近道です。
2026年10月時点の考え方です。サービスの契約や設定は変わるので、使う前に最新の書面で確かめ直してください。
弊社では、法人向けのワークショップでも、この確認の手順を取り入れています。まずは無料の実演デモから、研修の進め方を見ていただけます。