AIに質問すると、もっともらしい答えが返ってきます。ところが読んでみると、自社の事情に合っていない。そう感じた経験のある方は多いはずです。この記事は、AIに答えを会社へ合わせてもらうために、条件を数字にして添える方法を、研修でどう教えるかに答えます。
研修では「数字の条件」と「体制の条件」を、質問のたびに添える習慣として教えます。数字の条件とは、件数、時間、金額、人数のように、数えて確かめられる条件です。体制の条件とは、担当する人の経験や、使える人数のことです。生成AI研修サービスの Qu(qu.strickland-ai.com)では、この2つを質問の型にして、受講者自身の仕事の質問で練習してもらいます。
条件が変わると答えも変わる
AIは、渡された条件の質で答えが変わります。たとえば、システムに使う技術Aと技術Bを比べてもらう場面です。「処理が速い方がよい」とだけ書くと、AIは一般によく選ばれる方をすすめます。
ここに「1分あたり1000件以上を処理する」と足すと、おすすめが入れ替わることがあります。さらに「その技術の運用経験者が社内にいない」と足すと、また変わることがあります。
これはAIの気まぐれではありません。AIは、質問した会社の期限も、人も、予算も知りません。知らないことは、一般的な場合を想定して答えます。条件を渡さなければ、答えは一般論に近づきます。
だから条件を書くことは、AIを自社の仕事で使える状態にする下準備です。研修ではまず、この仕組みを短い実演で見てもらいます。同じ質問に条件を1つずつ足し、答えがどう動くかを受講者と一緒に読みます。
あいまいな言葉を数字に直す
次に、あいまいな言葉を数字に直す練習をします。受講者が普段書く質問には、「速い」「たくさん」「早めに」のような言葉が入っています。これらは人によって意味が違うので、AIには伝わりません。
| あいまいな書き方 | 数字や条件にした書き方 |
|---|---|
| たくさん処理したい | 1分あたり1000件以上を処理する |
| 早めに終えたい | 来月末までに運用を始める |
| 費用は抑えたい | 初期費用は50万円までにする |
| 詳しい人がいない | その技術の運用経験者は0人である |
表の数字は、説明のための作り話です。実際の数字は、受講者が自分の仕事から出します。
数字にする理由は2つあります。1つ目は、AIが条件に合う答えを出しやすくなるからです。2つ目は、答えが条件を守っているかを、人があとで確かめられるからです。「速い」では守ったかどうか判断できませんが、「1分あたり1000件以上」なら判断できます。
体制の条件を添える
数字にしにくい条件もあります。その代表が、誰がそれを動かすのかという体制の条件です。
AIが出す案は、理屈の上でよくても、社内に扱える人がいなければ使えません。そこで研修では、担当者の人数、経験、その仕事に使える時間を、質問の最後に1行で書かせます。「担当は1人で、その技術の経験はない」と書くだけで、AIの案は変わることがあります。
会社にとってこの1行が要る理由は、選んだ案を実際に動かすのが社員だからです。AIの答えをそのまま採用して、運用できる人がいないと分かれば、やり直しになります。やり直しの費用は、会社が負います。
研修での進め方
Qu の研修では、次の順で進めます。
- 受講者に、普段AIに聞いている質問を1つ持ってきてもらう
- 質問の中の、あいまいな言葉に線を引く
- 線を引いた言葉を、数えられる条件に直す
- 体制の条件を1行足して、条件を足す前の答えと並べて読み比べる
4番目では、答えのどこが変わったかを、受講者自身に言葉にしてもらいます。変わらなかった場合は、その条件が答えに効いていないか、書き方が伝わっていないかのどちらかです。そこで条件の書き方を見直します。
質問の前に自分の考えを書き出す練習は、AIにうまく頼めない人には、頼む前に1分の書き出しを研修で教える(新しいタブで開きます)で説明しています。条件の数字は、この書き出しの中から拾えます。
弊社の法人向け研修には、1社毎週定例というプランがあります。週に1回、全体でミーティングを開き、2か月続ける形です。参考価格は税抜で月30万円の2か月分、60万円からです。毎週の会議に実際の質問を持ち寄れるので、条件を足す練習を何度も繰り返せます。2026年10月時点の内容です。
数字が分からないときの扱い
実際の仕事で数字がまだ決まっていない場合は、無理に作らず、「まだ決まっていない」と書きます。そのうえで、AIに「この数字が決まると、答えは変わりますか」と聞きます。
AIが「変わる」と答えた項目は、先に社内で決めるべき数字です。つまりAIへの質問が、社内で何を決めていないかを見つける手がかりにもなります。
数字の細かさは、仕事によって変えてよいものです。大きな方針を決めるなら大まかな数字で足ります。人に説明する資料の根拠にするなら、上司や取引先に聞かれて答えられる程度まで具体的にします。会社の判断にAIの答えを使うとき、あとで理由を説明できることが大切だからです。
明日できること
明日の仕事で、昨日AIに聞いた質問を1つ開いてください。その質問に、数字の条件を1つと、体制の条件を1つ足して聞き直します。
そして、前の答えと新しい答えを見比べて、違った点を2行でメモします。この2行が、自社の仕事ではどの条件が答えを動かすのかを知る、最初の記録になります。