AIを仕事に入れるとき、研修から始めたくなります。全員に学んでもらえば進むと思うからです。けれども研修で何を教えるかは、会社の側の準備で決まります。この記事は、AIを入れる順番を利用のルール、小さなチーム、研修の順にして、それを研修でどう教えるかに答えます。
利用のルールを先に作り、若手中心の小さなチームで使い始め、そのあとで研修を開く。この順番で進めると、研修で教える中身が会社の仕事から出せます。Qu(qu.strickland-ai.com)の研修では、受講する人にこの順番とその理由を最初に伝えます。2026年10月時点の弊社の考え方です。
順番を先に見せる
研修の最初の30分で、次の表を見せます。段階ごとに、何を決めるかと、なぜその位置かを並べたものです。
| 段階 | 決めること | その位置にある理由 |
|---|---|---|
| 1. 利用のルール | AIを使ってよい仕事と、入れてはいけない情報 | ルールがないと、使う人ごとに判断がばらつく |
| 2. 小さなチーム | 若手中心の数人が、実際の仕事で使ってみる | ルールが現場で通じるかを、小さく試せる |
| 3. 研修 | 全員に、通じたルールと使い方を教える | 教える例を、自社の仕事から選べる |
受講する人は、自分の会社が今どこにいるかを表に印で付けます。ルールがまだない会社は、研修のあとにルール作りが残ると分かります。
ルールを先にする理由
ルールは、研修で教える中身の元になります。何を入れてよいか、誰に相談するかが決まっていなければ、講師は一般的な話しかできません。受講した人も、翌日に職場へ戻ってから迷います。
そこで研修では、ルールを作る練習をします。いきなり長い文書にはしません。今AIを使っている仕事を書き出し、その一つひとつに「このまま使ってよいか」を決めます。ルールの具体的な作り方は部署でAIを使う前の4つの決めごと(新しいタブで開きます)で説明しています。
小さなチームを挟む理由
ルールを書いても、現場で守れるかは分かりません。守れない決まりは、書いた人が気づかないまま残ります。そこで若手中心の数人に、ルールの範囲で実際に使ってもらいます。
若手を中心にするのは、新しい道具を試す時間を取りやすいからです。ただし任せきりにはしません。使ってみて困った場面を、チームに書き出してもらいます。
- 困った場面
- ルールの文が曖昧で、判断に迷った
- ルールが厳しすぎて、仕事が止まった
この記録が、ルールを直す材料になります。研修では、この記録の取り方を受講者に練習させます。
研修を最後にする理由
研修を最後に置くと、教える例を自社の仕事から選べます。小さなチームが実際に使った場面を、そのまま練習問題にできるからです。他社の例を読むより、同僚が実際に困った場面のほうが、受講者は自分の仕事に引き寄せて考えられます。
弊社の法人向けの研修は、この順番に合わせて選べます。5名までの1on1型短期集中研修は、小さなチームの段階に向いています。社員全員で受ける1回3時間のワークショップは、ルールと使い方を広げる段階に向いています。どちらも参考価格は税抜で、1on1型が2か月で120万円から、ワークショップが30万円からです。
明日できる最初の一手
明日の朝にできることは一つだけです。今AIを使っている人に、使っている仕事を一行ずつ書いてもらってください。共有のメモ1枚で足ります。
書き出された仕事を見ると、会社の中でAIがどこまで入っているかが分かります。ルールはこの一覧から作ります。一覧がない状態でルールを書くと、実際の使い方と合わない決まりになりやすいからです。
順番を飛ばしたときに起きること
順番を飛ばすと、どこで問題が出るかが変わります。
- ルールを飛ばして研修をする。研修のあと、入れてよい情報の判断が人ごとに分かれる
- 小さなチームを飛ばして全員に広げる。ルールが現場に合わないと、全員が同時に気づく
- 最初から全員に研修をする。教える例が一般的になり、自社の仕事に結びつかない
どの場合も、あとから戻って直すことはできます。ただ、全員に広げたあとで直すと、伝え直す手間が大きくなります。だから順番を守るほうが、結果として早く進みます。
研修で順番を教えるときは、最後に受講者へ「自分の会社はどの段階か」を一文で書いてもらいます。次の一手がその一文から決まります。研修の進め方の全体は情報漏えいを防ぐ生成AI研修の内容(新しいタブで開きます)も参考になります。