研修のあとに、社員の利用状況を見る担当者は多いはずです。毎日AIを開いている人がいると、その人は使いこなしていて、任せても大丈夫だと思いたくなります。けれども、使う回数が多いことと、間違いに気づけることは別の話です。この記事では、AIをよく使う社員の安全をどう見るか、研修で何を数えて確かめるかを、研修を開く側の目線で説明します。
使う回数が多くても、安全の目安にはなりません。目安にするのは、AIの答えを確かめた回数です。弊社はこの考え方で、Qu(qu.strickland-ai.com)の研修を組んでいます。2026年10月時点の弊社の判断で、法令や統計から導いたものではありません。
回数だけでは見えないこと
利用回数は、AIを開いた数を表します。答えが合っていたかどうかは、回数のどこにも出てきません。
たとえば、1日に50回使う社員が、50回とも答えをそのまま貼っていたとします。この人の仕事は速く見えます。しかし、間違いが混ざっても誰も気づきません。
反対に、1日に5回しか使わなくても、毎回、元の資料と照らし合わせる社員がいます。この人のほうが、会社にとって安全です。
AIをうまく使う力は、指示の出し方と、答えを確かめる力の2つに分かれます。2つは別々に育ちます。指示がうまい人が、確かめるのもうまいとは限りません。よく使う人ほど指示は上達します。確かめる習慣は、教えないと身につかないことが多いのです。
数えるのは確かめた回数
研修では、利用回数のかわりに、確かめた回数を数えます。ここでいう「確かめる」とは、AIの答えを、AIの外にある情報と照らし合わせることです。
外にある情報には、社内の元の資料、公式の案内ページ、計算し直した結果などがあります。
数え方は簡単です。社員が成果物を出すときに、確かめた点を一覧に書いてもらいます。書けた数を毎週集めます。
| 数えるもの | 何が分かるか |
|---|---|
| 確かめた点の数 | 確かめる習慣が付いているか |
| 確かめて直した数 | AIの間違いに実際に気づけているか |
| 照合先を書けた数 | 何と照らしたかを説明できるか |
| 確かめずに出した成果物の数 | 抜けが起きている場所はどこか |
表のうち、一番大事なのは「確かめて直した数」です。確かめた点が多いのに、直した数が毎回ゼロなら、見ているふりになっている可能性があります。その場合は、確かめ方を教え直します。
毎週の数字の取り方については、研修が「やった気」で終わる理由と、毎週3つの数字で防ぐ方法(新しいタブで開きます)にも書きました。確かめた回数は、その数字に足して使えます。
研修で確かめる練習を入れる
確かめる力は、別に練習しないと育ちません。そこで研修には、確かめるだけの時間を入れます。
進め方は次のとおりです。
- 講師が、間違いを1つ混ぜたAIの答えを用意する
- 社員は、元の資料と照らし合わせて、間違いの場所を探す
- 見つけたら、どの資料のどの部分と食い違ったかを書く
- 全員で答え合わせをして、見落としやすい場所を共有する
この練習では、AIに「自信がない点を挙げて」と頼む方法も教えます。AIの言い方が断定的だと、人は正しいと思いやすいからです。自信のない点を挙げさせると、どこから確かめればよいかが分かります。
研修の前後で同じ課題を解く
確かめる力が伸びたかどうかは、研修の前と後で同じ課題を解いて比べます。課題には、間違いを混ぜたAIの答えを使います。
比べる項目は、見つけた間違いの数と、照合先を正しく書けたかどうかです。同じ課題を使うのは、問題の難しさが変わると比べられなくなるためです。
進め方の全体は、社員のAIスキルの測り方は研修の前後で同じ課題を解かせる(新しいタブで開きます)に書いています。
よく使う社員への声かけ
よく使う社員には、利用回数をほめるだけで終わらせません。次のように声をかけます。
- 最近、AIの答えを直したのはいつか
- 直した経験がある人は、確かめる習慣がある
- 思い出せない人は、確かめずに使っている可能性がある
- 照らし合わせた資料はどれか
- 答えられる人は、確かめ方を説明できる
- 答えられない人には、照合先の決め方を教える
責める聞き方はしません。確かめる習慣は、聞かれることで付くものです。
弊社の研修での扱い
弊社の法人向け研修には、オリジナルカリキュラム「Qu-bis」が付きます。研修の組み方は、確かめる練習を入れる前提で相談できます。まずは無料の実演デモから見られます。
人材開発支援助成金の対象になり得る研修ですが、次の4点に注意してください。
- 支給は保証されません
- 賃金助成は、会社の負担に含めて考えません
- 対象は、雇用保険の被保険者です
- 申請は、社会保険労務士に頼みます
まとめ
AIをよく使う社員でも、確かめていなければ安心できません。利用回数は見るだけにして、確かめた回数と、確かめて直した数を数えます。
研修には、間違いを探す練習を別に入れます。力が伸びたかどうかは、前後で同じ課題を解いて確かめます。2026年10月時点の弊社のやり方です。