研修で社内の質問に答えるAIを作ると、しばらくして別の悩みが出ます。規程を変えたのに、AIが古い答えを返すのです。作った人が別の部署に移ると、直し方を知る人もいません。この記事は、古い記録を直す担当と流れを、研修でどう教えるかに答えます。
株式会社ストリックランドの Qu の研修では、古い記録の直し方を、規程を変える日の作業にします。AIの設定の話にはしません。規程を変える人が、古い記録を消す担当を先に決める。その順番を、受講者が自分の手で一度たどる演習にします。2026年10月時点の弊社の進め方です。
古い記録が残ると何が起きるか
出張のホテル代の上限が、3万円から3万5000円に変わったとします。AIの記録に古い3万円が残っていると、新しい規程と古い記録が食い違います。AIは矛盾して混乱します。記録に日付や改定の印が無ければ、どちらが今の規程かを決める手がかりもありません。
研修では、この2つの記録を受講者に見せます。そのうえで「ホテル代の上限はいくらですか」とAIに聞かせます。古い記録が混ざった答えを自分の目で見ると、記録を整えることが仕事の一部だと分かります。
担当を先に決める
教える中心は、次の一文です。「規程を変えたら、古い記録を消す担当を決める」。受講者には、この文を自分の会社の言葉に書き直してもらいます。
担当は、規程を変える権限のある人にします。どちらの記録を採用するかを決められるのは、その人だからです。AIを作った人や研修の担当者は、規程の中身を決められません。
担当は部署名だけで書かせず、人の名前まで書かせます。異動のときに引き継ぐ相手も、同じ紙に書かせます。担当が空いたままだと、古い記録は誰にも消されません。
直す流れ
流れは次の順で教えます。
- 規程を変える
- AIの記録を見回り、食い違う記録を見つける
- 担当者に「どちらを採用しますか」と聞く
- 担当者が、新しい方を選ぶ
- 古い記録を消す
- 同じ質問をAIにして、答えが新しい規程に合うかを確かめる
手順2と3は、AIに手伝わせられます。記録を見回って矛盾を見つけ、担当者に聞く流れを作れるからです。ただし手順4と5は人が行います。選ぶのも消すのも、規程の持ち主だけができることだからです。
研修で練習させること
流れを読ませるだけでは、手順が抜けます。次の表の4つの場面を、ホテル代の例で一つずつ手を動かして練習させます。
| 場面 | 受講者がすること | 教えること |
|---|---|---|
| 矛盾を見つける | 新旧のホテル代の記録を読み比べる | 同じ質問に別の数字が答えられる記録は、食い違いである |
| 担当に聞く | 「どちらを採用しますか」と聞く文を書く | 2つの記録を並べ、選べる形で聞く |
| 古い記録を消す | 消す記録と残す記録を分ける | 消す前に、どの規程の記録かを確かめる |
| 答えを確かめる | 同じ質問をAIにもう一度する | 消したあとに確かめるまでが一つの仕事である |
特に「答えを確かめる」を飛ばしやすいので、練習で必ず通らせます。消しただけで安心して終わりやすいからです。確かめる手順は、AIの出典リンクを開いて同じ数字を探す手順と同じ形をしています。研修ではこの2つをつなげて話します。出典リンクの手順は、次の記事に書きました。AIの出典リンクの確かめ方は、開いて同じ数字を探す手順で研修で教える(新しいタブで開きます)
見回りをAIに任せる線
AIに任せるのは、矛盾を見つけて知らせるところまでです。どちらを採用するかを決めるのも、記録を消すのも人です。
弊社の運用でも、AIのアカウントができるのは下書きを作ることと、読むことだけです。投稿のボタンは人が押します。任せる範囲は、指示文に書かず、設定で決めています。古い記録の見回りも、同じ考え方で組めます。AIには読む権限だけを渡し、消す操作は担当者の画面にだけ置きます。
研修では、この線を受講者自身に引かせます。「AIがやってよいこと」と「人が決めること」を二列に書き分けてもらいます。見回りと削除がどちらに入るかを話し合います。
研修のあとに続けること
演習で作った担当の紙は、持ち帰って終わりにしません。規程を変えるときの手順書に、直す流れの6つを書き写してもらいます。研修のあと最初に規程が変わったとき、手順どおりに進んだかを担当者に聞きます。進まなかった手順があれば、その手順の理由を聞いて、書き方を直します。
続けているかを見る方法は、研修が「やった気」で終わる理由と、毎週3つの数字で防ぐ方法(新しいタブで開きます)にまとめています。
古い記録の直し方も、研修の中で終わらせず、仕事の手順に入れて初めて定着します。
弊社の法人向けの研修では、まず無料の実演デモから見られます。自社の規程でこの演習をどう組めるかを知りたいときは、そこから確かめてください。