Qu

AIが答えられない質問は、人に回す道を研修で先に作って教える

公開

社内の質問にAIが答えるようにすると、AIが答えを持っていない質問に必ず当たります。そのとき社員は、あいまいな答えを信じるか、聞くのをやめるかになりがちです。この記事では、答えられない質問を人に回す道を、研修でどう教えるかを説明します。

AIが答えを持たない質問は、分かる担当者に回す決まりを先に作ります。その流れは、研修で一度やらせて教えます。決まりの中身は、回す先、担当者の答えを知識に足す手順、足してよいと認める人の3つです。弊社の生成AI研修 Qu では、この3つを受講者が自分の部署の言葉で書き出す練習にします。

答えがないときに起きること

AIは、答えを持っていない質問にも、それらしい文章を返すことがあります。社員が読むと、正しい答えに見えてしまいます。返事が出るので、社員は間違いに気づきにくいのです。

気づいて担当者に聞き直した場合も、問題が残ります。答えは担当者と質問した人の間だけに残り、AIの知識には入りません。次に同じ質問が来れば、また担当者が答えることになります。

回す道がないと、この繰り返しが担当者の負担として増えていきます。会社に回す道が要るのは、分からない質問を分かる人が受け取れるようにするためです。一度出た答えを、次からAIが使えるようにするためでもあります。

ある記事の例

ある記事では、次の流れが紹介されています。AIが答えを持っていない質問は担当者に回り、担当者が答えると、AIがそのルールを知識として足すことを提案します。管理者が認めると、次からはAIが自分で答える流れです。

この流れの要点は、答えるのは人で、知識に足すかどうかを決めるのも人だという点です。AIは足す提案までしかしません。研修では、この分担をそのまま練習の形にします。

研修で教える3つの決めごと

研修では、次の3つを順に決めて書かせます。説明を聞くだけでは、自分の職場の誰に回すのかが決まらないためです。

決めごと書かせる中身練習のしかた
回す先質問の種類ごとの担当者の名前と、連絡する場所実際の質問を3つ用意し、誰に回すかを書く
足す手順担当者の答えを、どの文章にして知識に加えるか担当者役が答え、受講者が知識用の文に直す
認める人足してよいかを判断する人と、その基準認める人役が、足す文を読んで可否を決める

3つ目の認める人を決めずに始めると、間違った答えがそのまま知識に入ります。そのため、足す前に人が読むところまでを、必ず練習に入れます。

決める前に話し合う点

ここから先は、会社ごとに答えが変わるため、決める前に話し合う点として挙げます。

  • 担当者が不在のとき、誰が代わりに答えるか
  • 認める人を、部署ごとに置くか、全社で1人にするか
  • 質問した人に、答えが出るまでAIがどう伝えるか

どれも正解は1つではありません。研修の場で、受講者に実際の部署の状況を出してもらいます。その場で仮に決めてみると、運用の穴が見つかります。

明日できる次の一手

明日できるのは、直近でAIが答えられなかった質問を、3つ集めることです。社内の問い合わせ窓口やチャットの履歴から、そのまま探せます。

3つ集めたら、それぞれを誰に回すべきだったかを書きます。書けない質問があれば、そこが回す先の空いている所です。この3つの質問が、そのまま研修の練習問題になります。

毎週の場で回して定着させる

決まりは、一度作っただけでは使われなくなりがちです。弊社の1社毎週定例は、週1回の全体MTGを2か月続ける形です。この形なら、毎週1件ずつ、答えられなかった質問を持ち寄って回す練習ができます。

担当者の答えがAIの知識に足される経験を数回重ねます。すると社員は、人に回すことを面倒な手間とは思わなくなります。AIが次から答えられるようにする作業だと分かるからです。

なお、費用の上限や公開前の承認の有無は、会社ごとに事情が違います。導入前に、どこまでをAIに任せるかとあわせて話し合ってください。この話し合いの記録が残っていると、担当者が替わっても流れが続きます。任せる範囲を広げる前の決め方は、任せる範囲を広げる前に確かめる人と場所を決める(新しいタブで開きます)にまとめています。守りの段階の分け方は、AIを任せるときの守りを3つの段階に分けて教える(新しいタブで開きます)が参考になる記事です。

2026年10月時点の内容です。