AIが同じ種類のミスを繰り返すと、つい指示を足したくなります。研修では、先にミスを4つの種類に分け、種類に合う場所を直すと教えます。種類は、前提、確認の基準、権限、隔離の4つです。
株式会社ストリックランドの生成AI研修 Qu でも、この順で進めます。2026年10月時点の、弊社の整理です。
指示を足しても直らない理由
指示は、AIに伝える言葉の一部にすぎません。ミスの原因が指示の外にあると、いくら書き足しても効きません。
たとえば、AIに消してはいけないファイルを消す権限がある場合です。「消さないで」と書いても、消せる状態は残ります。この場合は、権限そのものを直します。
受講者には、まず「直す場所は指示のほかにもある」と知ってもらいます。ここが分かると、残りの話が早くなります。
研修で教える理由
研修が終わったあと、受講者は自分の職場でAIを使います。ミスが起きたとき、そばに講師はいません。
種類を分ける考え方を身につけていれば、受講者は自分で直す場所を選べます。新しいAIのツールを使うときも、同じ考え方が使えます。
種類を分けずに指示だけを足すと、直ったように見えても、同じミスが戻ってきます。この遠回りを、研修の中で先に体験してもらいます。
ミスの4つの種類
同じ種類のミスを繰り返すとき、見直す場所はミスの種類で決まります。研修では次の表を配ります。
| ミスの種類 | こう見分ける | 直す場所 |
|---|---|---|
| 前提を知らない | AIが会社のルールや状況を知らずに動いた | AIに見せる情報と指示 |
| 誤りを成功と判断した | AIが「できました」と言ったが、中身が違った | 確認の基準 |
| 危険な操作をした | 消す、送るなど、戻しにくい操作が実行された | できる権限と、実行前の確認 |
| 範囲の外まで影響した | 頼んだ場所以外のものまで変わった | 隔離 |
隔離とは、AIが触れる場所を、頼んだ範囲だけに区切ることです。たとえば、作業用の別の場所で動かします。
弊社の運用で見る権限
権限の直し方は、弊社の運用がそのまま例になります。弊社のAIは、設定で下書きの作成と閲覧しかできないようにしてあり、投稿のボタンは人が押します。
これが、権限を直すという意味です。文章で禁じるのではなく、そもそもできない状態にします。
研修の進め方
座学で表を読ませるだけでは、身につきません。実際のミスの記録を使い、受講者に自分で分けさせます。
- 受講者がAIに頼んで起きたミスを、1つ書き出してもらう
- 「何が起きたか」を、事実だけで1文にまとめる
- 表の4つの種類のうち、どれに当たるかを選ぶ
- 選んだ理由を、隣の人に説明する
- 種類に合う場所を直す案を、1つ書く
- 直したあと、同じミスが起きないかを確かめる方法も書く
3番で意見が割れたら、そのまま残します。割れた理由を話すことが、いちばんの学びになります。
つまずきやすい点
最初に多いのは、どの種類も「指示を直す」で片づけてしまうことです。指示を直す案が出たら、「指示だけで防げるか」と問い返します。
危険な操作の場合、指示は守られないことがあります。権限を外すほうが、確実です。
次に多いのは、誤りを成功と判断した場合の取り違えです。AIが間違った答えを出したことと、間違いに気づけなかったことは、別の問題です。後者は、確認の基準を直す話になります。基準を決めるのは人です。
範囲の外まで影響した場合は、頼み方が悪かったと受け止めがちです。しかし、頼み方が完全でも、触れる場所が広ければ起きます。隔離を直す話だと、順を追って示します。
練習問題の作り方
練習には、受講者の仕事に近い例を使います。1つの問題に1つの種類だけが当てはまるようにします。
- 前提の問題
- 社内の規程を知らないまま、AIが書類を作った
- 確認の基準の問題
- 数字の欄が空のまま、AIが完成と報告した
- 権限の問題
- 古いデータを消す操作を、AIが確認なしで実行した
- 隔離の問題
- 1つの資料を直すはずが、別の資料も書き換わった
慣れてきたら、種類が2つ重なる例も出します。その場合は、重なった種類の数だけ、直す場所があります。
AIに守りを任せる考え方は、AIを任せるときの守りを3つの段階に分けて教える(新しいタブで開きます)にもまとめています。実行の前に止めるか、あとで確かめるかの分け方は、実行のあとで確かめる場合と、実行の前に止める場合(新しいタブで開きます)で説明しています。
次の一手
自社の研修で、この進め方を見てみたい方は、Qu の無料の実演デモから見られます。法人向けの研修は、まずこのデモで、ミスの種類を分ける流れを確かめてください。
デモのあとで、自分の仕事で起きそうなミスを1つ選び、種類と直す場所を並べたメモを書いてみてください。直す場所を選ぶのは、ミスの種類を分けたあとです。