人事部向けの生成AI研修では、採用と評価の「下書きまでをAIに任せ、合否と評価点は人が決める」と教えます。Qu(弊社の生成AI研修)の進め方では、使える場面、任せてはいけない判断、個人情報の扱いの3つを同じ日に教えます。この記事は、人事部の研修を開く側が何を順に伝えればよいかを説明します。
2026年10月時点の、弊社の研修運用と一般に確認できる決まりをもとに書いています。
人事部の研修では、何から教えればよいですか
最初に教えるのは、使い方ではなく線引きです。人事の仕事には、人の人生に関わる判断が多くあります。先に「ここまでは任せてよい」「ここからは人が決める」を決めておきます。
線引きがないまま使い方だけ教えると、受講者は便利さを見て自分で範囲を広げます。研修の冒頭で、次の表を配って全員で読みます。
| 場面 | AIに任せてよいこと | 人が必ず行うこと |
|---|---|---|
| 求人票 | 文章の下書き、言い回しの整え | 条件や仕事内容が事実と合うかの確認 |
| 面接 | 質問案の下書き、質問の漏れの点検 | 質問を使うかの決定、当日の評価 |
| 評価コメント | 書き出しの案、読みやすい文への直し | 評価点と中身の決定 |
| 合否 | なし | すべて |
採用では、AIをどの場面で使えますか
使えるのは、求人票の下書きと、面接の質問案の2つです。どちらも「人が読んで直す前提の文章」だからです。
求人票は、仕事内容を箇条書きにしてAIに渡し、読みやすい文章にしてもらいます。研修では、できた文章を元のメモと1行ずつ見比べる練習をします。AIは、書いていない条件をもっともらしく足すことがあるためです。求人票の内容は、職業安定法で正確で最新のものにするよう求められています。足された一文を見逃さない目を、研修で育てます。
面接の質問案は、募集する仕事の内容を渡して、聞くことの候補を出してもらいます。ここで教えるのは、仕事の力に関係のない質問を入れない点です。本籍や家族の状況などを聞かないことは、厚生労働省の公正な採用選考の考え方に示されています。AIの案にこうした質問が混じっていないかを、人が確かめます。
評価では、AIに何を任せてよいですか
任せてよいのは、評価コメントの下書きの手伝いだけです。評価点を決めたあとで、コメントの書き出しや言い回しをAIと考えます。
手順は次のとおりです。
- 評価点と、その理由のメモを人が先に作ります。
- 個人が特定できる情報を外して、メモの要点をAIに渡します。
- AIが出した文を、本人に伝わる言葉に人が直します。
- 事実と違う記述がないか、元のメモと見比べます。
研修では、順番を逆にしないことを強く教えます。AIに先に点を出させると、その点が人の判断を引っぱります。点を決めるのは、いつも評価者です。
任せてはいけない判断は何ですか
合否の決定と、評価点の決定です。この2つは、AIが提案するのも避けます。
本人の雇用や給与に直接つながるためです。AIは、なぜその結論を出したかを説明できません。結論の責任を負うのも、人事部と会社です。
研修では、受講者に「AIが勧めたから」と答える場面を想像してもらいます。応募者や社員に説明できない判断は、使ってはいけない判断だと伝えます。この線引きは、研修の資料に1枚で載せて持ち帰れるようにします。
個人情報は、研修でどう教えますか
応募者や社員の氏名、連絡先、経歴、評価は個人情報です。教える決まりは、次の手順に絞ります。
- 氏名や連絡先は、AIに入力する前に消します。「応募者A」のような記号に置き換えます。
- 会社が使ってよいと決めたAIサービスだけを使います。個人の無料アカウントには入れません。
- 入力した内容が学習に使われる設定かを、使う前に確かめます。
個人情報保護法には、取得した目的の範囲で使うこと、本人の同意なく第三者に渡さないことが定められています。外部のAIサービスに個人データを入力する扱いは、サービスの規約や設定で変わります。社内の決まりは、会社の法務担当や専門家に確かめてから作ってください。
弊社では、AIのアカウントは「下書きを作る」「読む」だけの権限にし、投稿などの実行は人が行う設定にしています。人事部でも、使ってよい範囲は頼み方ではなく設定で決められます。
研修はどんな形で開けばよいですか
人事部だけの1回の研修として開くのが、最初は進めやすいです。弊社のワークショップは、社員全員が対象の単発の研修で、1回3時間です。参考価格は税抜30万円からです。
研修の前に、会社としての決まり(使ってよいサービスと入力してよい情報)を決めておくと、当日は練習に時間を使えます。準備の見方は生成AI研修のサポート体制を、発注前に確かめる6つの問い(新しいタブで開きます)に、開いたあとの見方は研修が「やった気」で終わる理由と、毎週3つの数字で防ぐ方法(新しいタブで開きます)にまとめています。